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薬物中毒の友人が、ぽつりと呟いた。
「塗り薬って不思議よね…」
彼女の頬は紅潮していて、その唇はかすかに震えていた。
彼女がなにを不思議に思ったのか皆目わからなかったが、僕は、彼女の言葉に含まれていた、心臓をきゅっと収縮させるような、なつかしい誘惑の匂いを敏感に感じ取った。
しばらくの静寂の後、彼女は再び唇を開いた。
飲み薬に効果があるのは分かるのよ。
飲んだら適当に消化されて、腸で血液に吸収されるんでしょ?
血液に吸収されたら体中に薬の成分がいきわたるわけよね。
でも、塗り薬って皮膚に塗るだけじゃない?
ヘロインを手のひらにのっけても気持ちよくはなれないわ。
続けざまに言い放って、彼女は僕の目を覗きこんだ。
そして、僕の目に狼狽の色を見つけて、にっこりと微笑んだのだった。
皮膚を通した吸収を経皮吸収と言う。
皮膚に塗布した塗布剤は、汗などに溶けて、
[1] 経毛嚢ルート(毛穴から)
[2] 経表皮ルート(エクリン腺(汗腺の一)から?)
いずれかのルートを経て、真皮の毛細血管へ浸透する。
しかし、皮膚は、吸収よりもむしろ排泄・分泌がその機能の主であり、角質層や汗・皮脂によって水を含む分子の交換は限定的で、なにかの物質を吸収させるには、エタノールやグリセリンなどの溶媒に溶かして塗布する必要がある。
角質層などのない粘膜や傷口であれば、より吸収がされやすいのだろう。
エタノール(お酒)を摂取することで顔が赤くなるのは、血管を収縮させる神経の働きが低下し、また、アセトアルデヒドの働きによって、血管が拡張したことによるものであると言われる。
血管拡張は同時に血圧の低下を引き起こすが、血圧が低下すると、血圧の恒常性を保つために、心拍数が上昇する。
エタノールの代謝
エタノール摂取で身体に起きる変化は、次の2つの要因によるものである。
1 血中エタノール濃度
2 血中アセトアルデヒド濃度
1 血中エタノール濃度による変化
アルコール作用の発揚期(0.05%程度)
抑制系神経への抑制効果によって興奮が助長される
アルコール作用の酩酊期(0.10%程度)
運動の反射時間の延長や刺激への無反応
意識を喪失し(0.30%以上)
脳幹機能の抑制によって、瞳孔拡大・呼吸停止を引き起こす(0.40%以上)
2 血中アセトアルデヒド濃度による変化
タンパク質などのアミノ基と反応
頭痛や悪心
交感神経様作用(カテコールアミン遊離)
アセトアルデヒド濃度を下げるため、酸素を取り入れようとして毛細血管拡張