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薬物中毒の友人が、ぽつりと呟いた。
「塗り薬って不思議よね…」
彼女の頬は紅潮していて、その唇はかすかに震えていた。
彼女がなにを不思議に思ったのか皆目わからなかったが、僕は、彼女の言葉に含まれていた、心臓をきゅっと収縮させるような、なつかしい誘惑の匂いを敏感に感じ取った。
しばらくの静寂の後、彼女は再び唇を開いた。
飲み薬に効果があるのは分かるのよ。
飲んだら適当に消化されて、腸で血液に吸収されるんでしょ?
血液に吸収されたら体中に薬の成分がいきわたるわけよね。
でも、塗り薬って皮膚に塗るだけじゃない?
ヘロインを手のひらにのっけても気持ちよくはなれないわ。
続けざまに言い放って、彼女は僕の目を覗きこんだ。
そして、僕の目に狼狽の色を見つけて、にっこりと微笑んだのだった。
皮膚を通した吸収を経皮吸収と言う。
皮膚に塗布した塗布剤は、汗などに溶けて、
[1] 経毛嚢ルート(毛穴から)
[2] 経表皮ルート(エクリン腺(汗腺の一)から?)
いずれかのルートを経て、真皮の毛細血管へ浸透する。
しかし、皮膚は、吸収よりもむしろ排泄・分泌がその機能の主であり、角質層や汗・皮脂によって水を含む分子の交換は限定的で、なにかの物質を吸収させるには、エタノールやグリセリンなどの溶媒に溶かして塗布する必要がある。
角質層などのない粘膜や傷口であれば、より吸収がされやすいのだろう。
老眼の母は、小さい文字を読むとき、いつも顔をしかめている。
僕 「母さんは、文字が見えないのが悲しくて、そんな顔をしているのですか?」
母 「いいえ、悲しくはないわ。ただ、顔をしかめると世界がクリアーに見えるの」
…クリアーだって?
ためしに僕も、文字を、ピントを合わせられないような目の前にまで近づけて、顔をしかめてみた。
結果、たしかに、視界がシャープになり、文字が読みやすくなったようだ。
驚くべきことは、ただ薄目にするだけで、このような効果が生じることであった。
この疑問には、眼球とカメラとの類似性によってアプローチが可能です。
薄目にすることは、カメラの絞り(開口絞り)と同じ効果を持つと考えられるのです。
絞りの効果
1 薄目にすると、被写界深度が深くなる
2 薄目にすると、諸収差が軽減する場合が多く、解像度が上がる
一方、逆に、薄目にしすぎると、像がぼやけることがありますが、これは、絞りすぎると光の回折効果が大きくなる(小絞りぼけ)ことによって説明できます。
エタノール(お酒)を摂取することで顔が赤くなるのは、血管を収縮させる神経の働きが低下し、また、アセトアルデヒドの働きによって、血管が拡張したことによるものであると言われる。
血管拡張は同時に血圧の低下を引き起こすが、血圧が低下すると、血圧の恒常性を保つために、心拍数が上昇する。
エタノールの代謝
エタノール摂取で身体に起きる変化は、次の2つの要因によるものである。
1 血中エタノール濃度
2 血中アセトアルデヒド濃度
1 血中エタノール濃度による変化
アルコール作用の発揚期(0.05%程度)
抑制系神経への抑制効果によって興奮が助長される
アルコール作用の酩酊期(0.10%程度)
運動の反射時間の延長や刺激への無反応
意識を喪失し(0.30%以上)
脳幹機能の抑制によって、瞳孔拡大・呼吸停止を引き起こす(0.40%以上)
2 血中アセトアルデヒド濃度による変化
タンパク質などのアミノ基と反応
頭痛や悪心
交感神経様作用(カテコールアミン遊離)
アセトアルデヒド濃度を下げるため、酸素を取り入れようとして毛細血管拡張
あけましておめでとうございます。
これから先、僕が疑問に思ったことを解決していきます。
お楽しみに!